第54回島根大学ミュージアム市民講座「古代のクラからみた国郡制の形成」を開催しました。

本日午後、第54回島根大学ミュージアム市民講座「古代のクラからみた国郡制の形成」を開催しました。

今回の講師は、大橋泰夫先生(島根大学法文学部教授・島根大学ミュージアム兼任研究員)で、古代の「正倉」についてのお話でした。

正倉とは、租税として徴収した稲を収納した公的な倉庫のことです。『出雲国風土記』によれば、郡によって、正倉が、郡家(郡役所)に併設される場合と、郡家以外の場所に分散して設置される場合とがあったようです。

出雲地域では、後谷遺跡(出雲市斐川町)古志本郷遺跡(出雲市古志町)で、実際に正倉の建物跡が見つかっています。

また、正倉のなかには、「法倉」と呼ばれる特別に大型のものがあります。瓦葺きだったり、柱が丹塗りだったりするものがあったようです。法倉は、高齢者や貧民・難民を救済するために国家が支給する米が収納されました。全国各地で、こうした法倉らしき建物跡が見つかってきているようです。

以上のようなクラの建設は、律令体制の成立・整備と密接な関係をもっており、民衆に国家の威信や安心を示すための意味があったと考えられています。

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