第109回島根大学総合博物館市民講座「古代製鉄からみた出雲と吉備」を開催しました。

 本日は、第109回島根大学総合博物館市民講座「古代製鉄からみた出雲と吉備」を開催しました。この講座は、平成30年度島根大学総合博物館市民講座第2ステージ「古代出雲と諸地域の交流を探る」 の第3弾です。
 今回の講師は、角田徳幸先生(島根県教育委員会・島根大学嘱託講師)が務め、古代における出雲と吉備の製鉄について解説しました。
 日本列島で最古に位置付けられる製鉄炉として確実な事例は、6世紀後半の千引カナクロ谷遺跡(岡山県総社市があげられます。ここでは、鉄鉱石を原料に製錬を行った製鉄炉が見つかっています。こうした製鉄技術は、三国時代の沙村遺跡(韓国慶尚南道)などの事例からみて、朝鮮半島から伝わってきたようです。
 吉備では、191基もの古代製鉄炉跡が見つかっていて、中国地方のなかでも集中的に製鉄が営まれていたようです。しかし、高品位の鉄鉱石は次第に枯渇していったため、鉄生産が衰退していきます。
 これに替わって、古代末から中世以降、砂鉄を原料とした製鉄が盛んになっていくのが、山陰側の出雲や石見地域です。これは良質な砂鉄が、この地域で大量にとれるためです。製鉄炉やその地下構造が大型化・複雑化されるなどの改良が加えられ、近世たたら吹製鉄へと展開していくのです。
 講座では、参加者の皆様から、「なぜ製鉄技術が最初に吉備に伝わったのか?」「砂鉄にも種類があるが、製鉄炉の構造に違いがあるのか?」など、活発な質問が寄せられ、製鉄についての関心の高さがうかがえました。
次回は、3月23日(土)、第110回市民講座「弥生時代の出雲と吉備の交流」です。多くの御参加をお待ちしております。

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