本日午後、第133回アシカル講座「建築物の地震被害と最新の耐震建築」を開催しました。
この講座は、令和4年度アシカル講座第1ステージ「学びあれば憂いなし!山陰の自然災害」の最終回になります。今回は、中村豊先生(島根大学総合理工学部教授)から、地震大国・日本における最新の地震対策建築についてお話いただきました。
最初に、日本列島はプレートの境界付近にあり地震が多発する地域であることが解説され、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震の被害の写真が示されました。また、東日本大震災において高さ210mの新宿の超高層ビルが大きく揺れている状況を記録した貴重な映像が流されました。
建物には、ビルやマンションなどの高層建築と戸建住宅などの低層建築があります。それぞれの建物には、地震で振動を受けた際に、左右に揺れて元に戻るまでの固有周期があるそうです。地震には速い揺れや遅い揺れがありますが、こうした地震の波形と建物の固有周期が一致すると、「共振」と呼ばれる現象によって建物は大きく揺れてしまうようです。したがって、地震による被害は、建物の高さにかかわらず、ケースバイケースで決まってくるのです。
また、建物の地震対策技術には、以下の種類があります。
1つめは、建物の構造を丈夫にして地震に耐える「耐震構造」、2つめは、建物下部の免震装置により建物と地面を絶縁させる「免震構造」、3つめは、斜め方向に設置したダンパーによって揺れのエネルギーを吸収する「制震構造」です。
日本では、近年、こうした免震建物や制震建物が増加し、地震に対する備えが進んでいるようです。松江市内でもこうした地震対策構造をもった新しい建物が建造されています。
現在、近い将来に高い確率で発生するといわれる南海トラフ巨大地震などが心配されています。本日の講座で解説していただいた地震対策技術によって、少しでも被害が最小化されることを期待するとともに、私たちひとりひとりが日頃から様々な面で備えを怠らないようにしたいと改めて考えさせられた講座となりました。
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