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チョウザメ剥製標本
列をなしているウロコが蝶の形に似ている。全体長1.6m
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チョウザメ類は,生きた化石と呼ばれるシーラカンスがいた時代(約2億年以上前)からの残存種といわれています。
ウロコが蝶(ちょう)の形をしていて,全体的な形がサメに似ていることから名付けられましたが,サメの仲間ではありません。魚肉やキャビアと呼ばれる卵は,高級食材として珍重されています。
生態は不明な点が多いですが,普段は海で暮らし,産卵のために川にのぼってくるタイプの魚です。近年の日本近海では,北海道や東北地方の沿岸でまれに見られるだけになってしまいました。
本標本は,明治~昭和初期頃に島根半島の東端,松江市美保関で捕獲されたといわれており,島根師範学校から島根大教育学部に受け継がれ,現在は島根大学総合博物館に展示されています。おそらく,国内最古級のチョウザメ標本ではないでしょうか。
故上田常一島根大学教授の著書『山陰の動物誌』によれば,当時,美保関でしばしば捕獲されていたといい,種の分布やこの頃の海況を知るうえでも高い学術的価値をもっています。
古めかしいガラスケースには,
「てふさめ 美保関採集・・・」
と達筆に墨書されたラベルが貼り付けてあります。
標本本体はもとより,こうしたケースやラベルも明治~昭和初期における地域の博物学研究史を知るうえで貴重であり,当時,本学が果たしていた高等教育研究機関としての役割を物語る資料として,高い歴史的価値をもっています。
学名 Acipenser medirostris チョウザメ目 チョウザメ科
詳細データ 全体長1.6m,頭長31㎝。
うろこ数:背板12,背びれと尾びれの間1,側板左33(うち奇形板2),側板右35(うち奇形板1),腹板左13,腹板右12,腹びれと尻びれとの間2,尻びれと尾びれとの間大小2
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