第53回ミュージアム講座「古代の日本海交流-渤海と山陰・出雲」を開催

本日午後、第53回ミュージアム講座「古代の日本海交流-渤海と山陰・出雲」を開催しました。

本日の講師は、古代史がご専門の大日方克己先生(島根大学法文学部教授)で、かつて現中国東北地方~朝鮮半島北部~現ロシア沿海地方に存在した国家、渤海(ぼっかい、698年~926年)と出雲との交流についてのお話でした。

当時渤海は、日本海を船で縦断するルートで、頻繁に「渤海使」を日本に派遣していました。特に、9世紀には、たびたび山陰地域に来航し、王孝廉、高承祖、李居正、揚中遠、王亀謀といった人物が出雲国を訪れていたことが分かっています。

こうした「渤海使」派遣の目的は、8世紀には日本との政治的・軍事的な連携にあったようですが、9~10世紀になると交易に主眼が置かれました。渤海からは、テンの毛皮、熊の皮、蜜、人参、麝香(じゃこう、ジャコウジカの腹部から得られる香料・生薬)がもたらされ、日本からは繊維製品が送られました。

こうした活発な交流も10世紀の渤海の滅亡とともに断絶します。

8~10世紀、一時的に花開いた日本海交流は、今は史料のなかに垣間見えるだけです。将来もしかしたら、出雲の遺跡から渤海産の土器などが発見される日が来るかもしれません・・・。

次回のミュージアム講座は、「古代のクラからみた国郡制の形成」(2/9)です。こちらもぜひご期待下さい!!

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