花森安治・田所太郎責任編集の松江高校『校友会雑誌』

 先週末から今週のNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」では、 花山伊佐次(唐沢寿明さん)と五反田一郎(及川光博さん)のツーショットシーンがよく出てきます。
 2人のモデルは、それぞれ旧制松江高校(現・島根大学)出身で、編集者として活躍した花森安治(『暮しの手帖』創刊)と田所太郎(『図書新聞』創刊)であるといわれています。
 そして、2人の編集者としての原点は、旧制松江高校時代にあります。
 2人が編集した松江高校『校友会雑誌』が、島根大学附属図書館に所蔵されています。
(最近、問合せが増えているそうです。【附属図書館のブログ】)

 今回のミニ企画展「旧制松江高校出身の異才編集者 花森安治と田所太郎」 では、花森と田所が責任編集で制作した『校友会雑誌』第20・21号も展示します。
  『校友会雑誌』第20号は、 編集者花森安治の原点になりました。体裁は、花森の考えで、従来のA5版から変形B6版に変更されました。表紙は、水色の線による方形図形を重ねた文様のシンプルなものです。紙も印刷屋からいろいろな種類を取り寄せて、自身で選んだそうです。
 また、この号に掲載されている花森の小説「泣きわらひ」は、文章の改行がまったくなく、1ページすべてが縦書きの活字で埋め尽くされています。まるで、内容よりも見た目の印象にこだわっているかのようです。
 花森の編集後記からは、彼の編集に対する大変な意欲や”こだわり”がうかがえます。

 「本号の責任はすべて僕にある。この編輯は全く僕によって、その独断のもとになされた故に  この点、委員田所、保古の厚意に感謝したいと思ふ。・・・カットを入れてはどうかといふ意見もあった。・・・僕は断然これに反対した。・・・活字の集団と、直線による紙面構成に美を見出して・・・」(花森安治の編集後記より)

 この斬新なデザインは、のちのちも伝説になるほどでした。
 NHKの「とと姉ちゃん」でも、花森の細かい”こだわり”を唐沢寿明さんが演じておられます。そのルーツは、松江高校時代にあったことが分かります。
(敬称略)
花森安治責任編集校友会雑誌20
(変形6版。9ポイント明朝体一段組)
花森が「編集者の出発点」と語る号

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