第121回アシカル講座「島根半島の民俗文化」を開催しました。

本日午後は、第121回アシカル講座「島根半島の民俗文化」を開催しました。この講座は、令和3年度島根大学総合博物館アシカル講座第1ステージ「ぶらり探訪・島根半島」の第3弾になります。

今回は、島根半島をフィールドに民俗学の調査研究を行われている中野洋平先生(島根県立大学人間文化学部准教授)から、島根半島の集落に伝わる「ヨメノイ神事」についてお話していただきました。

「ヨメノイ神事」と呼ばれる祭りは、島根半島ではこれまでに松江市鹿島町手結、松江市島根町瀬崎、松江市美保関町森山・下宇部尾などで確認されています。

このうち、平成25年まで行われていた島根町瀬崎の「よめのえ祭り」と呼ばれるヨメノイ神事は、11月、爺役と、女装した婆役の人物が、滑稽なやり取りをしながら皿に飯(おこわ)を盛り、その皿をしまった櫃を別の人物の頭上に載せて、その人物が左右に回転するというものです。

このような神事について、民俗学者はこれまで、豊作を祈る「予祝儀礼」と解釈してきました。しかし、神事の要素からみると、むしろ新穀を氏神に奉納する「献饌儀礼」と評価するほうが適当であるようです。他地域の事例などもふまえると、江戸時代中期頃に「田遊び」といわれる儀礼の影響をうけて成立した「献饌儀礼」と推定されるとのことでした。

こうした昔ながらの伝統行事も今では見られなくなってきているそうです。今回の講座では、神事の様子を収録した貴重な記録映像を視聴させていただくことができました。

今回も新型コロナ対策のため会場受講の人数制限をさせていただき、代わりにオンライン配信を行いました。おかげ様で、265回のご視聴をいただくことができました。

次回はこのシリーズの最終回、「日本遺産・日が沈む聖地 出雲」【9/11】です。ただいまオンラインでの受講受付中です。皆様のご参加をお待ちしております。

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