本日午後、第144回アシカル講座「『日本遺産』って何?」を開催しました。この講座は、令和6年度アシカル講座第1ステージ「島根の『日本遺産』を学ぶ」の初回になります。
今回は、当館の会下和宏館長が講師を務め、2015年度から認定が始まった「日本遺産」とはどのような制度なのか?どのような内容の遺産があるのかについて、総論的な解説を行いました。
2007年、「観光立国推進基本法」が施行され、史跡、名勝、天然記念物等の文化財が観光資源として位置付けられました。2015年に閣議決定された「文化芸術の振興に関する基本的な方針」では、「文化芸術、町並み、地域の歴史等を地域資源として戦略的に活用」していくことが謳われ、「日本遺産(Japan Heritage)」認定の仕組みを新たに創設することが提案されました。
そうした流れを受けて、文化庁のもとで、「地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定していく事業が始まりました。
現在、島根県内では、7件の日本遺産が認定されています。今回は、「津和野今昔~百景図を歩く~」「神々や鬼たちが躍動する神話の世界〜石見地域で伝承される神楽〜」「中世日本の傑作 益田を味わう」などのストーリーや構成文化財の説明がありました。
日本遺産の特徴は、「点」として指定されてきた文化財をストーリーで括り、「面」として捉え、保護するとともに活用していくことにあります。これによって、地域の活性化・ブランド化、地域住民の誇りの醸成、観光振興による地域の活性化などが期待されます。一方で、活用のみが優先されるあまり、地道な文化財の保護、しっかりとした調査研究が疎かになってはいけません。そのための予算措置や人材育成の必要性といった点も強調して、講座が終了となりました。
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