第150回アシカル講座「加茂岩倉遺跡の時代の鋳造技術 - 鋳造用具からのアプローチ -」を開催しました。

 本日午後は、第150回アシカル講座「加茂岩倉遺跡の時代の鋳造技術 - 鋳造用具からのアプローチ -」を開催しました。この講座は、令和6年度 アシカル講座第2ステージ「日本列島とユーラシアの考古学」の第3弾です。

 今回は、清水邦彦先生(島根大学法文学部講師)から、1996年、雲南市加茂岩倉遺跡で出土した39個の銅鐸やこれらの鋳造技術について解説していただきました。

 前半は、加茂岩倉遺跡から出土した銅鐸の種類・特徴・推定製作地についての解説でした。39個の銅鐸のなかには、外縁付鈕式といわれる古い段階のものが28個、扁平鈕式といわれる中段階のものが11個あります。これらは、袈裟襷文・流水文などの文様や細かい特徴の違いなどから、複数の工人集団によって製作された銅鐸群が含まれていると考えられています。

 また、外縁付鈕式から扁平鈕式古段階までの銅鐸は、近畿地域で製作されたものと推定されていますが、8号銅鐸35号銅鐸は近畿地域のものにはない特徴をもっており、製作地は不明となっています。

 後半は、松江市の白来待石を鋳型にした銅鐸の鋳造復元実験について解説がありました。この鋳造実験では、熱による石材の膨張・収縮やガス抜きの対策などが難しく、経験豊富な現代工人からしても、銅鐸製作に非常に高度な技術を要求されることが分かりました。

 製作地不明の加茂岩倉遺跡の銅鐸や出雲市荒神谷遺跡の大量の銅剣などは、出雲で製作されたのではないかともいわれています。将来的に、鋳型が地元で発見されることを期待させられた講座となりました。

 次回は、このシリーズの最終回「古墳時代の開始と青銅器生産・流通の変革」【2/22】です。ひき続きよろしくお願い致します。

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