第42回島根大学ミュージアム市民講座「考古学からみた国郡制の成立と出雲国の形成」を開催。

本日午後は、古代出雲連続講座の第4弾、第42回島根大学ミュージアム市民講座「考古学からみた国郡制の成立と出雲国の形成」を開催しました。

本日の講師は、古代の考古学をご専門にされている島根大学法文学部教授の大橋泰夫先生でした。

お話ではまず、7世紀後半から8世紀にかけて、律令国家が成立していくなかでの全国的な郡家(ぐうけ・郡の役所)や国府(国の役所)の状況について解説されました。

全国の国府のなかでも出雲国府は、永年の遺跡発掘によって、比較的、細かいところまでよく解明されているようです。八雲立つ風土記の丘資料館では、8世紀の国府の全体状況を復元した模型があります。これは、これまでの学術調査成果に基づいたもので、ここまで具体的に解明されているのは、全国的にも珍しいようです。

また、近年、雲南市大東町で発見された郡垣遺跡(こおりがきいせき)では、大原郡の郡家跡である可能性が高い建物跡が見つかりました。この建物跡は、『出雲国風土記』に書かれた、大原郡の郡家が、雲南市木次町に移転する前のものであるようです。

こうした郡家の移転については、律令体制が次第に整備されていく出雲国全体の枠組み・動向のなかで、評価する必要があるようです。

古代の国や郡を具体的に究明していくうえで、『出雲国風土記』のような文字資料が残されている出雲地域は、全国的にも注目されているフィールドです。さらに、いろいろな発掘調査の進展によって、近年、この時代の研究もこれまでの通説が塗り替えられています。これからも古代出雲の研究成果に期待していきたいと思います。

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