【島根大学の偉人4】”長崎の鐘”著者・永井隆博士

(1908~1951)

 “長崎の鐘”で知られる永井隆博士は、大正14(1925)年、旧制松江高校に入学し、フリッツ・カルシュ先生からドイツ語を教わっています。
永井隆博士(旧制松江高校入学時、大正14年)
当時、カルシュ先生のドイツ語の授業は、前任のウィルヘルム・プラーゲ先生の厳格なやり方とは正反対で、大変温厚なものでした。このため医学部進学を目指す学生のなかには、これでドイツ語の力がつくのだろうか…という批判的な意見をもつ者もありました。
 しかし、永井隆は別な考えでこう言ったそうです。
「なる程、プラーゲさんのやり方が続いていたら、我々の会話の力はもっとつくだろう。だがカルシュ先生に教わっていると、ドイツ語教育をとおして、もっと深いものが教えて貰えると思うので、僕はこのままの方がいいと思う。」
 この言葉に、クラスメートも納得し、カルシュ先生の授業を認めるようになったそうです。哲学者であるカルシュ先生の授業は、ただドイツ語を教えるだけではなく、それを通して国際的視野にたったモノの見方、考え方を学生たちに植え付けていったのでした。
 若き日の永井隆の人格形成にとって、カルシュ先生の及ぼした影響が非常に大きなものであったことが窺えます。
旧制松江高校卒業集合写真(昭和3年)
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