本日、第120回総合博物館アシカル講座「島根半島の生き物たち」を開催しました。
この講座は、令和3年度島根大学総合博物館アシカル講座第1ステージ「ぶらり探訪・島根半島」の第2弾になります。今回は、日本ジオパークにも認定されている島根半島の植物・動物について、佐藤仁志先生((公財)日本野鳥の会副会長・島根大学非常勤講師)に解説していただきました。
前半は、島根半島の動物・植物についての紹介でした。
まず、島根半島が南西からの対馬暖流の影響を強く受けているという説明がありました。そのために島根半島には暖かい地域に生育するマテバシイが自生していること、また沿岸にはカラフルなサンゴや熱帯魚が見られるそうです。また、南方で見られ、島根半島を生育東限とする植物には、ハマビワ、ハマヒサカキなど多くの種類があるそうです。このほか、シロウマアサツキ、サンイントラノオといった珍しい植物も見ることができます。
後半は、島根大学総合博物館にも展示されていて、当館の愛称・キャラクター:アシカルのモデルにもなっているニホンアシカについてのお話でした。
島根半島にはかつてニホンアシカが多く生息していたそうで、半島の周りには、「トド島」などアシカに関連する島の名前もあります。また、出雲大社の神事ではニホンアシカの皮が利用されているなど、古くから人との関連も深いようです。
ニホンアシカはすでに絶滅したと考えられており、島根大学総合博物館所蔵のニホンアシカは、当初は国内唯一の標本でした。その後、佐藤先生らの調査によって、他にも存在していることが分かってきており、現在世界で20体ほどの剥製標本が確認されています。
奈良時代の有名な神話「因幡の白兎」や『出雲国風土記』に登場する「ワニ」とは、サメではなくニホンアシカのことではないかと考える説があるそうです。佐藤先生も、ハーレムを作り、群れをなすニホンアシカのほうが神話の情景をイメージしやすいと述べられました。
今回も新型コロナ対策のため会場受講の人数制限をさせていただき、代わりにオンライン配信を行いました。おかげ様で、100名近くの方にライブ配信をご視聴いただきました(視聴期間6/19までで288回の視聴がありました)。次回は、「島根半島の民俗文化」(8/21)になります。オンライン受講は、常時申込みを受け付けております。多くの皆様のご受講をお待ちしております。
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